事例・実績紹介
Case Study
株式会社オプロ

月間商談数が1.5倍に増加!約1か月でSalesforce MAからHubSpotへ移行したオプロの事例

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業種

BtoB向けクラウドサービスやソフトウェアの開発・提供

従業員数

101名〜300名

ご支援前の課題

・属人化が進んだPardot運用により、新メンバーへの引き継ぎや業務効率に限界を感じていた
・SalesforceとPardotのライセンス費用が高騰し、費用対効果への疑問が社内で高まっていた・過去10年分のリードデータが整理されず、実質活用可能なデータは少なかった

ご支援後の成果

・月間商談引き渡し数が30〜40件から70件に増加し、1.5倍以上の成果を実現
・SlackやZoom Phoneとの連携により、マーケから営業への即時連携が可能に
・トレーニング不要で誰もが扱えるUIにより、フォームやメールの作成が属人化せずMA活用の社内浸透が加速

株式会社オプロは、企業が保有するあらゆるデータを最適化するデータオプティマイズソリューション、情報を一元管理し業務効率化を図るセールスマネジメントソリューションを軸に、多様な製品を提供しています。

オプロが直面していたのが、マーケティングオートメーション(MA)環境の硬直化です。Salesforce Account Engagement(旧Pardot)を中核とした従来の運用体制では柔軟な施策展開が難しく、設定や変更には専門知識が必要でした。

特に、マーケティングチーム内で業務分担が進む中、フォームやメール配信の設定が特定の担当者に依存するようになり、属人化が顕著に。企画から実行までに時間を要し、部門間連携にも支障をきたすようになっていました。

そこで同社は、SalesforceからHubSpotへの移行を決断。しかし、Salesforceライセンスの更新日まで残された期間はわずか約1ヶ月でした。

今回は、DX推進本部 統括部 エグゼクティブディレクターの本田優介様、同マーケティング部 シニアディレクター塚越裕太様、同マーケティング部 マネージャー本多晶様に、短期間での移行をどのように実現したのか、そしてその成果について詳しく伺いました。

業務の電子化と営業支援を軸に、SaaS領域で存在感を発揮

まずは御社の事業内容について、お伺いできればと思います。

本多氏:弊社では、事業ドメインとして大きく2つの柱を掲げています。ひとつはデータオプティマイズソリューション、もうひとつがセールスマネジメントソリューションです。

データオプティマイズソリューションでは、これまで紙やExcelで運用されてきたアナログな業務をデジタル化するツール群を提供しています。代表的なサービスが帳票DXで、請求書や労務関連書類、社内報告書といった帳票類を電子ファイル化し、それをメールで配信したり、保管、承認といった後続のプロセスまでを一気通貫で自動化します。

SalesforceをはじめとしたSaaSサービスの帳票電子化を支援する帳票DX

(SalesforceをはじめとしたSaaSサービスの帳票電子化を支援する帳票DX

もう一つ注力しているのがカミレスというサービスです。こちらは主に金融機関や公共機関を対象に、紙で行われていた申請手続きをオンラインフォーム化し、さらにその承認プロセスまでをデジタル化するソリューションです。いずれも、業務効率化とペーパーレス化を実現するためのプロダクトとして、お客様から高い評価をいただいております。

金融・行政機関向け電子手続きサービス「カミレス」

(金融・行政機関向け電子手続きサービス「カミレス」)

そしてもう一つの事業軸がセールスマネジメントソリューションです。こちらでは、無形商材やSaaSビジネス、または有形商材のサブスクリプションビジネスにおける販売業務やKPI管理を効率化するツールを展開しています。具体的には、ソアスク、モノスクという2つの販売管理サービスを提供しており、それぞれお客様の事業成長を支援するための営業基盤として機能しています。

BtoB SaaS企業向けの販売管理サービス「ソアスク」

(BtoB SaaS企業向けの販売管理サービス「ソアスク」)

なお、弊社はもともとSalesforceに注力してきた背景があるため、現在でもSalesforce関連のビジネスが全体の多くを占めています。しかし、最近ではkintoneやSAPなど他のプラットフォーム連携にも対応領域を広げています。今後はより多様なシステムに対応していく方向に進化しようとしています。

それぞれの所属部署とご担当されている役割、そしてその部署のミッションについて教えていただけますか?

本多氏:私はマーケティング部に所属しています。チーム全体のミッションとしては、インサイドセールスや営業チームへ、確度の高いリードを届け、1件でも多く商談化することにあります。その中で私は自社Webサイトの制作ディレクションやWeb広告の運用など、Webマーケティング施策を担っています。

また、Web周りのパートナーやツールの選定にも関わっており、今回のHubSpot移行プロジェクトにおいても、特にWebフォームの再構築や移行作業など、オペレーション面で中心的な役割を果たしました。

塚越氏:私はマーケティング部の責任者として、新規契約を創出するための全体戦略を設計・推進しています。リードジェネレーションからナーチャリング、パートナー連携施策に至るまで、多岐にわたるマーケティング施策を統括する立場です。

HubSpotの導入時期にはまだ入社していなかったのですが、現在は「HubSpotをどう活用していくか」という視点で、展示会後のフォロー施策やコンテンツのシナリオ設計など、実践的な運用面にも関わっています。

本田氏:私はDX推進本部 統括部に所属し、エグゼクティブディレクターとして4つの領域を担当しています。まずインサイドセールスでは確度の高いSQLを見極め、有効商談を量産していく組織作りを担っています。次にフィールドセールスの統括として、中堅・中小からエンタープライズまでの商談を創出し、クロージングまで導くチームマネジメントをしています。現在はインサイドセールス7名、フィールドセールス5名で稼働しています。

また、新規事業の立ち上げや既存サービスの市場展開にも携わっており、ポジショニングやGo-To-Market戦略の設計にも深く関与しています。

さらにSalesforce出身という経歴を活かし、当社内のSFAやMAツールの最適化を推進しています。

膨大なリード、属人化した運用、見えないコスト。MA再構築を決意した背景

まずはPardotを導入された背景から教えていただけますでしょうか。

本多氏:私が入社した10年前、弊社ではMAツールとしてMarketoを使用していました。ただ、弊社はSalesforceに特化したビジネスを展開しており、社内でもSalesforceを中心に業務基盤を構築していたため、より親和性の高いMAツールとしてPardotへの切り替えが進められました。Marketo自体に大きな不満があったわけではありませんが、Salesforceとの統合をよりスムーズに行うためには、やはりPardotの方が合理的だという判断だったと記憶しています。

導入当初は、Pardotの基本的な機能を活用してWebフォームの設置やメール配信などを中心に運用しており、ダイナミックコンテンツやリードスコアリングといった高度な機能も一部では活用していました。しかし、ツール自体が徐々に属人化していき、新メンバーへの引き継ぎや運用の効率化に限界を感じていたのが正直なところです。

確かにPardotは高機能ではありますが、UIが直感的とは言い難く、新しく参加したメンバーにとっては習得に時間がかかる印象があります。私自身もMAの経験はありましたが、Pardotは設定や操作に手間がかかり、特に細かな調整を行う際には、テンプレートの構築やデザイン面で外部のサポートに頼らざるを得ないことも少なくありませんでした。

本多晶氏 株式会社オプロ DX推進本部 マーケティング部 マネージャー

(本多晶氏 株式会社オプロ DX推進本部 マーケティング部 マネージャー)

それに加えて、Salesforce全体のライセンス費用が更新時期に大きく値上がりしたことも重なり、「この投資に見合った成果を出せているのか?」という疑問が社内で強まっていきました。実際、Salesforce関連には年間で相応の費用を投じており、当時の当社にとって決して小さくないコストでした。Pardot単体でも高額の月額費用がかかっていましたが、たとえプランを引き下げて負担を抑えたとしても、学習コストや運用効率といった見えないコストは依然として残っていたのです。

そのような背景から、いよいよツールの見直しが本格的に議論されるようになりました。MAを中心に据えたマーケティング戦略を再構築するには、単なるコスト削減ではなく、運用のしやすさや将来的な拡張性が必要だと感じていました。

本田氏:私は入社してから1年半ほどが経ちますが、その間にSalesforce周りの最適化プロジェクトを数多く進めてきました。最初の半年で80件以上のタスクを自分の手で洗い出し、整理し、改善していく中で、最後まで残ったのがこのMA領域だったんです。それだけ複雑かつ根深い課題があったということだと思います。

なかでも特に象徴的だったのは、過去10年間に蓄積された大量のリードデータの管理状況です。整理されていない属性情報や何の製品に興味を持って流入したのかわからないリードが大量に存在し、結果としてオプトアウト率は極めて高い状態。つまり、実際にメールでアプローチできるリードは少なく、それらもセグメント分けがままならない状態でした。

この負の遺産を対処していくには、単に既存ツールを継続するのではなく、新たなMAツールに乗り換える必要があるという結論に至ったのです。ちょうどその頃、弊社でもHubSpotアプリの開発をビジネスとして始めようという機運が高まっており、自分たちでも使いこなして、体験を言語化できるようにしようという方向で合意が取れました。

HubSpotのUIは直感的でわかりやすく、新しいメンバーもすぐに使い始められる点も決め手となりました。

弊社をパートナーとしてお選びいただいた背景についてお伺いできますでしょうか?

本田氏:100社を選んだ理由は、不思議なご縁がきっかけだったというのが第一印象です。ただ、だからといって単なる偶然に頼ったという話ではなくて、やはり「100社であればしっかり支援してくれそうだ」と確信が持てたことが大きかったです。

Salesforce時代に私の部下が実際に100社へ営業していましたし、その後、ドリームフォース(Salesforce開催のイベント)のリストでも名前を見かけたりしていました。

本田 優介氏 株式会社オプロ DX推進本部 統括部 エグゼクティブディレクター

(本田 優介氏 株式会社オプロ DX推進本部 統括部 エグゼクティブディレクター)

もちろん、選定理由はそれだけではありません。支援の打ち合わせを進める中で、しっかりとしたノウハウを確立されているというのは明確に伝わってきました。私たちが投げかけた課題や質問に対して、曖昧な回答ではなく、きちんと論理立てて答えていただける。この信頼感は大きかったですね。

HubSpotに関する知識だけでなく、その先のマーケティング全体の戦略やオペレーションにも通じていて、「この人たちなら一緒にプロジェクトを前に進められる」という確信に変わっていきました。

また、マーケティングという領域は、単なるツールの導入で終わる話ではなく、その先のシナリオ設計や運用、さらにブランディングまでつながる広範な領域です。100社にはその全体像を俯瞰した視点があり、ここまで相談できるんだと驚くような場面も多かったです。最終的には、ツールを入れて終わりではなく、我々の事業成長にどう貢献してくれるか、という視点で見て、最も信頼できるパートナーだと感じてお願いしました。

移行期間わずか3週間。Salesforce連携も含むHubSpot導入を成功させたプロジェクト体制

プロジェクトの進め方や体制について詳しくお伺いできればと思います。

本田氏:今回のプロジェクトは極めてタイトなスケジュールで実施いたしました。特にSalesforce側の契約更新のタイミングが迫っていたため、1ヶ月弱という短い期間で、すべての移行を完了させる必要がありました。本来であればもう少し余裕を持って進めたかったのですが、社内の承認プロセスが想定以上に時間を要してしまい、ギリギリのスケジュールでのスタートとなりました。

ただ、その分社内でも絶対に成功させる必要があるという緊張感が生まれ、結果的には良い集中力が生まれたと感じています。要件定義のような事前準備は最小限に留め、まずはサンドボックス環境での連携検証からスタートしました。「このコネクタがきちんと動く」「こういう動作をする」といった感覚的な確信を得ながら、スピーディに構築を進めた形です。

また、SalesforceとHubSpotの連携については最初は最小限、つまり一方通行でコンタクトが作成されたらリードが生成されるだけのシンプルな設定にしていました。そこから段階的にAPI連携の範囲を広げていきました。現在では、会社情報の連携まで実装できており、今後は商談や取引情報まで含めてさらに拡張していく計画です。

SalesforceとHubSpotの推奨される連携イメージ

(SalesforceとHubSpotの推奨される連携イメージ)

本多氏:私の方では、オペレーションまわりの主担当として、特に設定関連を中心に動いていました。具体的には、HubSpotへ移行するにあたり、既存のウェブフォームが80〜90種類ほどありまして、それらの再構築・連携設定が大きな作業の一つでした。

この作業は正直、一人でやるには手が足りなかったのですが、100社のご支援をいただきながら、共同作業という形で進めました。スプレッドシートで管理表を作成し、誰がどのフォームを担当するか、どこまで完了したかを共有しながら、細かくタスク管理をしました。作業量は膨大でしたが、お互いに進捗が見える体制だったので、非常にスムーズに運用できたと感じています。

本田氏:プロジェクト全体としては、二軸で進行していたのが特徴的です。一つは、本多が中心となって進めたウェブサイトやフォームなどのクリエイティブ領域。もう一つが、私が中心になっていたSalesforceとのコアシステム連携の部分です。

このように領域を分けて並行して進めることで、誰かの作業待ちで全体が止まるといった渋滞を防げました。Salesforceとの連携については、項目のマッピングや連携の方向性、投入するリードの条件設定など、細かい調整が必要でしたが、HubSpotの操作性と100社のサポートによって、スピード感を持って進められました。

この二軸の体制と柔軟な進め方があったからこそ、たった3週間での初期移行が実現できたのだと思っています。通常のパートナーでは実現困難なスピードだったと思います。

HubSpotへの移行やSalesforceとの連携を進める中で、特に苦労された点や印象に残っている困難などがあれば教えていただけますか?

本田氏:やはり一番大きな要因は時間のなさでした。Pardotの解約が11月末、そして12月1日にはすでにHubSpotでの運用を始めなければいけないという、非常に厳しいタイムリミットが設定されていたため、実質2〜3週間で移行作業を終わらせる必要がありました。その短期間でフォームの再構築、連携設定、コンテンツの移行などを完了させるのはハードでしたね。

ちょうどそのタイミングで展示会も控えていて、マーケティング的にも準備すべきタスクが山積していたので、業務の合間を縫っての作業となり、身体的にも精神的にもタフな時期でした。ただ、そのような環境だったからこそ、優先度を明確にし、要不要を判断する力が養われたように思います。

塚越氏:私は技術的な部分での難しさが印象に残っています。特にSalesforceとHubSpotを接続した際の挙動が想像以上に複雑で、最初は戸惑いました。たとえば、接続するとカスタム項目が勝手にHubSpot側に同期されるんですね。これが初回接続時のスナップショットで行われるという仕様だったのですが、こちらはSalesforce側の項目構成を頻繁に変更していたため、「なぜこの項目だけ同期されているのか?」「後から作った項目はなぜ来ないのか?」と混乱しました。HubSpotならではの挙動を理解し慣れることが非常に重要でした。

さらに、ユーザー情報も自動でHubSpotに作成されていたことがあり、「なぜこの人がすでにいるの?」というようなことも起こりました。最初は挙動の理解に時間がかかりましたが、そこを100社に相談することで、背景や仕様を丁寧に説明いただき、徐々に整理できたというのが実情です。

塚越 裕太氏 株式会社オプロ DX推進本部 マーケティング部 シニアディレクター

(塚越 裕太氏 株式会社オプロ DX推進本部 マーケティング部 シニアディレクター)

本田氏:私の立場から見て印象的だったのは、データ構造の違いに起因する苦労です。Salesforceではリードと取引先責任者というように二重構造になっているのに対して、HubSpotはコンタクトで一元管理されています。この考え方の違いをしっかり理解して設計しないと、うまく連携できない。これは見落としがちですが、大事なポイントです。

SalesforceとHubSpot連携

また、項目ごとのデータ型が一致していないと同期できないという制約もありました。たとえば、Salesforce側で数値型だった項目が、HubSpot側ではテキスト型で作られていたりすると、うまく同期されません。この問題に気づくのにも少し時間がかかりました。ですが、これも100社のサポートによって、素早く原因を突き止めて対応できたのはありがたかったですね。

遠藤(ハンドレッド):HubSpotとSalesforceはどちらも優れたツールですが、そもそものデータ構造や項目の型の考え方に違いがあるため、単純なフィールド同士の紐付けだけでは不十分です。特にデータ型の不一致は、見落とされがちですがトラブルの原因になりやすいポイントです。事前にどの項目をどう扱うか、どんな型で定義されているかを細かく整理しておくことで、移行後の想定外の挙動やデータ不整合を防ぐことができます。導入や連携の成功は、こうした目に見えない地ならしの精度にかかっています。

商談引き渡し件数が月間70件に到達──HubSpot導入で1.5倍の成果を実現

移行から半年ほどしか経っていませんが、定量的な成果があればぜひ教えてください。

塚越氏:定量的な面でいえば、以前は月間30〜40件ほどだった 商談引き渡し数が、現在は平均して70件ほどまで増加しています。1.5倍以上の成果です。これはもちろん、HubSpotを導入したことだけが理由ではありません。並行してリードアプローチの仕組み自体を見直し、標準プロセスの設計をやり直したことで、結果的にコンバージョン率が改善したことも要因です。ただ、HubSpotの導入がその再設計を推進するきっかけになったことは間違いなく、大きなトリガーでした。

本田氏:Slack連携を活用した通知設計やインサイドセールスチームとの連動も迅速になりました。展示会で名刺交換したリードに、その日のうちにサンクスメールを自動送信する、そのような運用も思い立ったその日に実現できる。これはSalesforce時代では考えにくいスピードでした。また、従来のようにできない理由を考えて後回しにするようなことも減りました。結果的に、社内全体がマーケティング施策に対して前向きに動けるようになったと思います。

塚越氏:一方で、いくつか課題も見えてきました。たとえば、Pardotではキャンペーン機能がしっかりしていたのですが、HubSpotではSalesforceとの連携面でキャンペーン管理にやや工夫が必要です。また、外部リンクからのトラッキングに使っていたPardotのカスタムリダイレクトのような仕組みが、HubSpotでは難しい場面もありました。ただ、HubSpotはGoogle広告やFacebook広告との連携が可能で、どの広告から、誰がコンバージョンしたかといった分析がしやすくなった点は、今後の活用の広がりを感じています。

遠藤(ハンドレッド):HubSpotとSalesforceの深い連携を実現するには、設計の仕方に工夫が必要です。特にキャンペーンやトラッキングといった高度な要件になるほど、HubSpotとSalesforceの思想の違いが影響してきます。HubSpot単体では完結しない設計にする際には、どの情報をどちらで持つか、どこまで同期させるかといったデータ設計と運用ルールのすり合わせが重要です。今回のように現場での運用課題が見えてきた段階で、適切なチューニングを重ねていけば、より最適なハイブリッド活用ができるようになります。

実際にご利用されている皆さまの反応や業務への影響などはいかがでしたか?

本多氏:導入後の社内の反応は良好でした。印象的だったのは、マーケティング部門の別のメンバーが、ほとんど説明しなくても自力でフォームやメールの設定ができていた点です。以前のPardotでは、トレーニングが必要だった部分が、HubSpotでは直感的に操作できたことに驚きました。これは学習コストの低さという点で非常に大きな成果だったと思います。

また、カスタマーサクセス部門でも、セミナー申し込みページの運用を担っているメンバーに軽くレクチャーをしただけで、すぐに実務に入れていました。これまでのように何度も説明したり、マニュアルを作る必要がなかったのは、業務負荷の軽減という意味でも大きな違いでしたね。

塚越氏:社内のトレーニングがほぼ不要だったという点は、私も同意します。インサイドセールスは現在もSalesforceを主に使っていますが、HubSpotに入ってきたリードをまずSlackで確認し、そこからコンタクトの詳細ページへアクセスしてアサイン作業を行っています。案件自体はSalesforceで管理していますが、初期のリード管理やアクションのトリガーとしてはHubSpotがしっかり機能しており、むしろ両者を使い分けることで運用の柔軟性が高まっているように感じています。

本田氏:セールス部門との連携においても、HubSpotの活用は確実に進んでいます。今ではZoom Phoneやamptalkなどの通話ツールと連携し、すべてのコミュニケーションログがSalesforceに記録される仕組みになっています。一方で、最初にリードが入ってきた時点での割り当て作業やステータスの把握は、HubSpotとSlackを使って即時に行う。このように複数のUIを行き来する運用になっていますが、混乱はほとんどありません。

たしかにUIが分散しているという声もありますが、むしろ使いやすいツールを最適な場面で使える、という前向きな捉え方をしています。特にHubSpotでのリード管理やメモ機能などは柔軟性が高く、業務にしっかりフィットしています。

遠藤(ハンドレッド):こうした社内のスムーズな定着は、HubSpotの操作性の高さが生きた好例だと感じています。多くのMAツールは高機能である反面、習得のハードルが高く、属人化や運用ストップのリスクがつきものでした。HubSpotは直感的に操作できるUIと柔軟性のある設計が特長で、「自分たちで考え、すぐに試せる」環境をつくりやすい。だからこそ、現場主導で改善を重ねていけるカルチャーが生まれ、最終的にはマーケティング全体の自走力が高まっていくのだと思います。

遠藤 祐太朗 株式会社100 取締役 プロジェクト責任者

(遠藤 祐太朗 株式会社100 取締役 プロジェクト責任者)

MA活用を軸に描く、部門横断の戦略設計とDXの全体像

会社として、そしてマーケティング部として、今後どのような展望をお持ちでしょうか?

塚越氏:会社全体、そしてマーケティング部としての今後の展望をお話しすると、大きなテーマの一つは展示会オペレーションの再構築です。これまで属人性の強かった展示会対応について、きちんとテンプレート化し、再現性の高い運用にしていくことが、直近の大きなミッションだと捉えています。その実現にあたり、HubSpotの活用は重要な位置づけです。

展示会で獲得した名刺に対しては、熱度に応じたナーチャリングシナリオを設計したいと考えています。明らかに高い関心を持ってくださっているリードに対しては、しっかりと価値訴求をして資料請求まで促すシナリオを組む。一方で、名刺交換しただけのようなリードに対しては、まずはオウンドメディアやメルマガなどを通じて弊社の価値を知っていただくような、段階的なコミュニケーションを設計する。そういったストーリーを柔軟に描けるのがHubSpotの強みだと感じています。

また、個人的に今後ぜひ挑戦していきたいと考えているのがスコアリングの本格運用です。現状、インサイドセールスはコンバージョンベースでアクションしていますが、今後はスコアが一定以上に上がったタイミングでアクションを促すような設計に進化させたいです。それにより、より適切なタイミングでの接点創出が可能になるはずです。

さらに、弊社のビジネスはパートナーとの共創が重要な構成要素となっているため、パートナーの熱量をスコアリングで可視化し、最適なタイミングで声をかけるといった仕組みづくりにも取り組んでいきたいと考えています。これはHubSpotの活用の幅をさらに広げるチャレンジになると思っています。

今後、HubSpotを活用してどのような展開をお考えでしょうか?また、どのような課題感や期待をお持ちですか?

塚越氏:HubSpot導入から半年が経ち、連携範囲も広がってきました。現在はリードや会社情報の連携に加え、商談データの連携にも取り組み始めており、今後は受注情報や売上といった指標まで、可視化できる体制を整えていきたいと思っています。そのためにも、取引データの連携設定を見直し、最終的にはSalesforce側でも営業成果とマーケ施策の関係をシームレスに追えるようにする予定です。

本田氏:HubSpotの強みであるワークフローやリストの柔軟性は、これからナーチャリング施策を強化していく上で大きな武器になると考えています。たとえば、このイベントに参加したリードには、次のステップとしてこういう案内を送ろうといったシナリオ設計を細かくやっていくことで、よりリードの温度感に合わせたコミュニケーションが可能になります。また、現状では主に属人的に運用されているダッシュボード類も、部門ごとに標準化して、誰でも見て判断できるような状態を目指したいですね。

本多氏:マーケティングチームとしては、オウンドメディア戦略との連携も今後の注力ポイントです。ウェブ広告や記事コンテンツからリードを獲得し、そこからの一連の流れを可視化・自動化することで、施策のPDCAサイクルが回しやすくなります。すでにGoogle広告などとの連携は始めていますが、今後はコンテンツの評価やファネルの深部までを見据えた設計ができると、より投資対効果の高いマーケ活動にシフトしていけると感じています。

塚越氏:現時点でもSalesforceとHubSpotの連携で業務は回っていますが、今後は部門間でより高度に連携するために、データ構造の最適化にも注力したいと思っています。SalesforceとHubSpotはそもそも思想や構造が異なるプロダクトなので、単に連携すればよいという話ではなく、どう連携すれば相互に価値を最大化できるのかを考えていく必要があります。その意味でも、今回のプロジェクトは始まりにすぎないと感じています。

※記事中の部署名、役職名等は取材時のものです。

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