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LIFE WITH HUBSPOT

HubSpot創業時から変わらない想いとアップデートし続けるカルチャー|HubSpot会長兼共同創業者 ブライアン・ハリガン氏

Brian

「HubSpotのある生活」をテーマに、HubSpotを使っているユーザー、パートナーを問わず、「人」を軸にリアルな情報をお届けするORANGE100%。

今回は、HubSpotの会長兼共同創業者であるブライアン・ハリガン氏。 

HubSpot創業当時の想いやカルチャー(企業文化)などについて、株式会社100代表の田村が話を聞きました。 

創業当時の想い

田村慶

HubSpot創業時の「想い」を聞かせてください。 

Brian Halligan

創業当時は、「マーケティングを変革したい」という想いを抱いていました。 

企業が見込み客に対してアプローチを行う「アウトバウンドマーケティング」とは反対の洗練された「インバウンドマーケティング」で素晴らしいものにしたかった。最終的には、サービスに満足した顧客によって知人・友人に薦めてもらえるまでを目指しました。 

その想いは、創業当時から今も変わっていません。 
マーケティングだけでなくセールス、サービス、オフィス、システムまで全体を変革することが、いまの我々の使命であり、その手段がインバウンドマーケティングなのです。 

個人的には「子どもや孫までが誇りに思い、友人たちに自慢できるような会社を創りたい」という想いがありました。 
私の寿命にかかわらず何十年先も存続し、素晴らしい成功を収め、顧客や投資家にとって価値ある会社でありつづけたい。今も続くそうした想いが、私の原動力になっています。 

カルチャー形成のきっかけ

田村慶

HubSpotのカルチャー(企業文化)について教えてください。 

Brian Halligan

HubSpot創業から2年後、転機がありました。 

月に1度のCEOグループの集まりに参加したときのこと。私が尊敬する、ロボット掃除機の「ルンバ」を開発したことで有名なiRobot社のコリン・アングル氏がカルチャーについて話してくれました。 

その中で、「あなたが会社にいないときに、社員たちはどのように意思決定をするか。それこそが会社のカルチャーである」とコリンは言ったんです。 

さらに「カルチャーこそが会社を成長させるものだ」と。 

この言葉にとても衝撃を受けて、私たちはHubSpotのカルチャー作りに無我夢中で取り組むようになりました。 

7-1
Brian Halligan

まずはHubSpot社内でアンケート調査を実施しました。 

「HubSpotに入社することを友人にどれくらい勧めようと思いますか? 1~10の点数で答えてください」というシンプルな質問です。 
すべての回答に目を通し、社員が回答した「良かったこと」「悪かったこと」をパワーポイントにまとめました。 

そうして作られたのが、HubSpotの「カルチャーコード」です。 
HubSpotのカルチャーコードは、企業として「こうありたい」と願うカルチャーの理想像を言語化し、日々の行動指針としたものです。 

経営陣や社員が持っている価値観、信条、慣習を言葉で表現し共有することで、魅力的で愛着を持てるカルチャーを自分たちの手で創りたいと考え、カルチャーコードを作成しました。 

Brian Halligan

128ページものボリュームがあり、読むのに15分ほどかかる資料で、インターネット上に公開しています。ちょっとしたマーケティングツールでもあります。 

社員はそれを読んで「いい感じ!」と共感し、友人にシェアしてくれます。 そして、このドキュメントは作ったら作りっぱなしというわけではありません。 
「生きているドキュメント」として、社員同士で議論を重ね、四半期に一度社員にアンケートも行い、アップデートし続けています。 

もし不満や疑問などがあった場合は、社内のWiki(Wikipediaのようなドキュメント共有ツール)に投稿し、社内の誰もが見ることができるようにしています。 
投稿があれば、その不満・疑問をしっかり受け止め、カルチャーコードをガイドラインに、解消に取り組みます。 

このように、HubSpotは透明性を重視し、カルチャーコードを面接や人事評価にも活用して、その一貫性を保っています。 

HubSpotは顧客のために製品をつくり提供していますが、その製品が競合他社に比べてユニークで価値があれば、まるで磁石のように多くの顧客を惹きつけて、良い関係を築くことができます。 

同じようにカルチャーもHubSpotの製品の1つと考え、社員を惹きつけ、会社に愛着を感じてもらい、良い関係を築くことを目指しています。 

※HubSpotは世界で最も働きやすい企業としてメディアにも取り上げられています。 
【トップ直撃】世界で「一番働きやすい職場」を作る秘訣|NewsPicks 

ネクストノーマルの時代

田村慶

HubSpotのブログで「ネクストノーマル」の時代について話していますが、詳しく聞かせてください。 

Brian Halligan

コロナ禍は、あらゆる業界のあり方や働き方、多くの人たちの行動を一変させました。 

このパンデミックの中で採り入れた技術や新しい習慣は、新型コロナウイルスが収束しても消えてなくなることはないでしょう。「ニューノーマル」ではなく、今後は「ネクストノーマル」として定着するはずです。 
そして「ネクストノーマル」から、さらに状況は変化していくでしょう。 

そのポイントとなる、2つの大きな問題があります。 

1つ目は、人々がプライバシーを気にするようになったことです。 
もちろん、そうあるべき当然のことなのですが、それは広告業界に大きな影響を与える問題でもあり、市場に対する考え方を、根本から変えることにもなります。 

2つ目は、多くの人たちがデジタルオーバーロード(デジタルによって脳に過負荷がかかること)に陥っているということです。 
私自身、すべてのコンテンツや広告を見るのは大変なことですし、この問題を解決するにはコンテンツやマーケティングの質、その背景を正しく理解する必要があります。 

この2つの問題によって、将来的にセールスの手法は大きく変わっていくでしょう。 

今でも電話をかけたり、スパムを送ったり、広告を出したりするなど、アウトバウンドの手法を行っている人たちがいますが、いずれ、このマーケティングの考え方を変えなければならなくなるでしょう。 

たとえば、広告。 Googleの広告枠は高い価格で取引され、そのほとんどは高いクオリティを保っています。ただ、まるで椅子取りゲームのようなこの状態は日々エスカレートしているので、マーケティング担当者が効果を出すことは難しくなっています。 

一方、オーガニック検索も茨の道と言えるでしょう。なぜなら、Googleのページにはオーガニックリンクを貼る余地がないからです。Googleの検索だけではなく、SNSも広告の展開が難しくなっています。 

Facebookは、先ほど話したプライバシー保護の強化を受けて、広告の質が低下しています。 

だからこそ、そうしたサードパーティのCookieではなく「ファーストパーティの考え方」を持って、サイトコンテンツを作ることが重要です。 
コンテンツは、ブログであれ、ポッドキャストであれ、ビデオであれ――なんでもいいのですが、自社のサイトをインターネット上のハブにする必要があります。 


また、YouTubeやTikTokが多くの人たちの生活の一部になっているので、それらに注力することも必要だと思います。 日本ではそうではないかもしれませんが、この流れは加速度的に進んでいます。 

KeiTamura

新型コロナウイルスのパンデミックによって、働き方やカルチャーに変化はありましたか。 

Brian Halligan

根本的に変わることはありません。 

ただ、以前はマサチューセッツ州ケンブリッジにある本社が中心でしたが、現在オフィスは分散しています 。
出社しやすいようにしたのですが、誰もオフィスに戻ってきませんね(笑)。 

社員はみんな在宅勤務を楽しんでいるので、勤務場所を選択できるようにしています。 
もちろん、出社と在宅のハイブリッドで仕事をすることもできます。
 

私はハイブリッド型なので、週1日か2日オフィスに出社して、あとは自宅で仕事をすることが多いです。 自宅だと、愛犬と一緒にいられますしね。 

カルチャーは、基本的に変わっていません。 

KeiTamura & Brian
Brian Halligan

100年後は、高いオフィスタワーを見たときに、まるでエジプトのピラミッドを見ているような感覚になるかもしれませんね。 

現在もZoomをはじめとした共同作業に適したツールがありますが、100年後にはもっと良いものになっているはずです。 

そうなれば、まるで同僚と同じ部屋にいるような――映画のスターウォーズやスタートレックのような感覚になって、わざわざオフィスビルを建てる必要がなくなるでしょう。 

日本ではコロナによる変化がありましたか? 

KeiTamura

当社では、HubSpotを使って企業のDX推進をサポートする「ソリューション事業」とは別に、カフェの「飲食事業」も行っています。 

やはり、カフェはコロナの影響を受けましたね。 

「外出自粛の息苦しさと緊張が続く毎日に、ホッと一息つける時間を作りたい」と、コーヒーを提供していました。 

Brian Halligan

カフェは儲かりますか?笑 

KeiTamura

大きく儲けるということはできませんね(笑)。 

我々のカフェは利益を上げることを最優先の目的にもしていません。INBOUNDなどに参加することで、HubSpotのコミュニティをベースとしたビジネスに触れて、僕もリアルのコミュニティを実験的に創ってみたいと思ったんです。自分たちの生活する地域のコミュニティづくりのために。 

フラワーアレンジメントやヨガなどのカルチャースクールを開催することもあります。 

飲食事業のイベントの参加者などもHubSpotを使って管理していますよ。 

Brian Halligan

それは素晴らしいですね! 

HubSpotにどんな機能があったらいいと思いますか。 

Endo & Brian
KeiTamura

まだ日本では使えないですが、決済機能が早く使えると良いと考えています。
今後、どのようにHubSpotは変わっていくのでしょうか。 

Brian Halligan

HubSpotは常にインバウンドの考え方を大切にする会社です。だからこそ、ファーストパーティデータという考え方を重視しています。 

顧客やパートナーがプライバシーの問題を解決し、デジタルの過負荷を克服できるような、現代にマッチした非常にモダンなプラットフォームを構築していくことを目標として柔軟に変化していきます。

こうしたプラットフォームを構築することが、私たちの企業としての使命です。 

日本のHubSpotユーザーに向けて

田村慶

最後に、この記事を読んでいる日本のHubSpotユーザーに一言お願いします。

Brian Halligan

日本のHubSpotユーザーの皆さん、私たちの製品を使っていただき、本当にありがとうございます。 

私たちは、次世代にも自慢できるような素晴らしい会社作りの一環として、顧客に喜んでもらえる製品を作り上げようとしています。 

HubSpotを使ったことのある方ならお分かりいただけるかと思いますが、HubSpotは日々進化しています。 
Appleが良い製品を作るように、私たちもより良い製品作りに励んでいきます。 ぜひ、ご意見をお聞かせください。 


今日はありがとうございました。 
素晴らしいパートナーでいてくれて、本当に感謝しています。 

田村慶

こちらこそ、ありがとうございました。 

Brian & Tamura

※記事中の部署名、役職名等は掲載当時のものです。

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そのすべてに惹かれて、HubSpotのパートナー、
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