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HubSpot AIで多言語サポート翻訳を実装する方法

コンタクトの優先言語プロパティ・多言語ナレッジベース・Breeze Customer Agent・Data Agent: Custom Promptを組み合わせてHubSpotで多言語サポートを実現する方法。


対象読者

  • 海外顧客を抱え、チャット・メール・チケットで多言語サポートを提供する必要があるカスタマーサポート責任者
  • 限られた人員で複数言語の問い合わせを捌くため、AIと多言語ナレッジベースを組み合わせて効率化したいCS責任者・オペレーションマネージャー

概要

HubSpotには受信トレイ(チャット・メール)のネイティブなリアルタイム翻訳機能は存在しませんが、コンタクトの優先言語プロパティ、多言語ナレッジベース、Breeze Customer Agent、ワークフローの Data Agent: Custom Prompt、および Lokalise 等のマーケットプレイスアプリを組み合わせることで、グローバル顧客への多言語サポート体制を構築できます。本記事では、ネイティブ機能で実現可能な範囲と、外部ツール・AIプロンプトで補完すべき領域を整理し、現実的な実装手順を示します。

前提条件

  • HubSpot Service Hub Professional以上 — ナレッジベース / ワークフロー / Data Agent: Custom Prompt / Breeze Customer Agent
  • HubSpot Service Hub Enterprise — スキルベースルーティング(言語別ルーティングに活用)
  • Breezeアシスタント
  • Data Agent: Custom Promptはクレジット消費が発生する
  • 受信トレイのリアルタイム翻訳が必要な場合は Lokalise Messages for HubSpot Inbox 等のマーケットプレイスアプリ(別途ライセンス費用)

実装手順

ステップ1:コンタクトの優先言語プロパティを整備する

顧客ごとの対応言語をCRMで一元管理する基盤を整える。

  • HubSpot標準の「Preferred language(優先言語)」プロパティを活用する
  • Webフォーム送信時に言語選択項目を設け、コンタクトに自動セットする
  • 既知顧客の言語情報をインポートまたは問い合わせ履歴から補完する
  • この言語プロパティが、後続のナレッジベース選択・Breeze Customer Agentの応対言語・ルーティングの判断軸となる

 

ステップ2:多言語ナレッジベースを整備する

Breeze Customer Agentやセルフサービスの参照先となる多言語記事を準備する。

  • 主要対応言語(例:日本語・英語・中国語)ごとにナレッジベース記事を作成する
  • 「コンテンツ」→「ナレッジベース」→「記事を追加」で言語を選択する。HubSpotは同一内容の記事を言語グループで管理し、閲覧者の言語に応じて自動的に該当言語版を表示する
  • HubSpotのナレッジベース記事にはAI自動翻訳機能が提供されていないため、以下の方法で翻訳の下書きを作成する:
  • ChatGPT / Gemini / Claude 等の外部LLMで翻訳の下書きを生成する
  • Breezeアシスタントで既存日本語記事を要約・多言語化し、下書きとして活用する
  • 下書きは必ず人間がレビューし、文化的ニュアンスや専門用語を確認してから公開する
  • 整備した多言語ナレッジは、ステップ3の Breeze Customer Agent の情報源として機能する

ステップ3:Breeze Customer Agentで多言語チャット一次対応を設定する

チャット窓口の一次対応をBreeze Customer Agentに任せ、顧客の言語で自動応答する。

  • Breeze Studio → Customer Agent の設定画面で、ステップ2で整備した多言語ナレッジベースを参照先として指定する
  • Customer Agentは顧客が入力した言語を自動検出し、該当言語のナレッジを参照して回答する
  • 解決しなかった場合のハンドオフルートを言語別に設定する。Service Hub Enterprise のスキルベースルーティングと組み合わせることで、言語ごとに適切な担当者へ振り分けられる
  • 参照先に該当言語のナレッジが揃っていないと回答精度が大きく低下するため、ステップ2の整備状況と連動させて運用する

ステップ4:ワークフローの Data Agent: Custom Prompt で受信チケットを翻訳・要約する

外国語で届いたチケットを担当者が即座に把握できるよう、AIで翻訳と要約を自動化する。

  1. 「自動化」→「ワークフロー」→チケットベースのワークフローを作成する
  2. トリガー:チケット作成 / 受信メール / チャット終了など
  3. 「アクションを追加」→「AI」→「Data Agent: Custom Prompt」を選択する
  4. 以下のようなプロンプトを入力する:

    以下のチケット内容を日本語に翻訳し、要約と初期対応方針を提示してください。

    元の言語:[自動検出] チケット内容:[チケット description プロパティ]

    出力形式: 1. 日本語訳 2. 要約(2-3行) 3. 推奨される初期対応

  5. 出力結果を「翻訳済み本文」「要約」「対応方針」のカスタムプロパティにそれぞれ保存する

  6. 担当者はチケット画面上で日本語化された内容・要約・初期対応方針を確認できる

ステップ5:担当者向けに返信下書きを翻訳する

担当者が日本語で返信を書き、顧客の言語に翻訳して送信する運用を整える。

  • 方法A:Breezeアシスタントに「この内容を[言語]に翻訳してください」と依頼し、返信本文に貼り付ける
  • 方法B:ChatGPT / Gemini / Claude 等の外部LLMで翻訳し、HubSpotの返信エディタにコピーする
  • 方法C:大量対応が発生する場合は、Data Agent: Custom Prompt を使った翻訳ワークフローを構築し、下書きを自動生成する
  • いずれの方法でも、送信前に担当者が訳文を確認し、文意・敬称・専門用語の整合を取る

ステップ6(オプション):Lokalise等のマーケットプレイス連携で受信トレイのリアルタイム翻訳を導入する

HubSpotネイティブに存在しない受信トレイのリアルタイム翻訳を補完する選択肢として、マーケットプレイスアプリの導入を検討する。

  • Lokalise Messages for HubSpot Inbox (公式マーケットプレイスアプリ)
  • 受信トレイ上のチャット・メールを100言語以上でリアルタイム機械翻訳する
  • エージェントはコマンド操作で言語切替や翻訳制御を行える
  • 料金は文字数ベースで、7日間の無料トライアルが提供されている
  • 代替アプリとしては Transifex・Crowdin・Phrase・Smartling 等があるが、これらは主にCMSコンテンツの翻訳管理に寄った機能構成となる
  • ネイティブ機能では対応できない領域を補うため、対象言語数・想定文字数・運用負荷を踏まえて導入可否を判断する

ステップ7:言語別の応対品質を計測・改善する

多言語対応の品質を定量化し、継続的に改善するループを回す。

  • カスタムレポートビルダーで、言語プロパティ別のチケット件数・初回応答時間・解決時間・CSAT・NPSを可視化する
  • Breezeアシスタントに「言語別の対応時間や満足度に差があるか分析してください」と問い合わせ、言語ギャップを定期レビューする
  • 応対品質が低い言語については、ナレッジベース記事の追加整備、Breeze Customer Agentのプロンプト調整、担当者の追加トレーニング等に反映する

 

注意点

  • HubSpot受信トレイ(チャット・メール)のネイティブなリアルタイム翻訳機能は存在しない(2026年4月時点)
  • HubSpotナレッジベース記事のAI自動翻訳機能は存在しない。多言語記事は手動で作成・管理する必要がある
  • Breeze × DeepL のAI翻訳はページ・ブログ・マーケティングメール専用(Content Hub / Marketing Hub Professional以上)であり、サポート(チケット・チャット)には直接使えない
  • DeepLがサポートする言語は32〜36言語であり、HubSpotが対応する全60言語をカバーするわけではない
  • Breeze Customer Agentの多言語対応精度は、参照する多言語ナレッジベースの質と網羅度に大きく依存する
  • Data Agent: Custom Promptはクレジットを消費する。大量のチケット翻訳に使う場合は、月間想定件数 × 1〜数クレジットで事前に試算する
  • AI翻訳の結果は出発点として扱い、文化的なニュアンス・敬称・業界特有の専門用語は必ず人間がレビューしてから送信・公開する
  • Lokalise等の外部マーケットプレイスアプリを利用する場合、HubSpotのライセンスとは別にアプリのライセンス費用が発生する

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