事例紹介

Webサイト修正費90%削減・リード率10%向上を達成した事例—HubSpotで実現したクレディセゾンの顧客ファーストの情報提供とは

作成者: 渋谷 真生子|Aug 8, 2025 4:37:08 AM

株式会社クレディセゾンは、クレジットカード事業やファイナンス事業、グローバル事業をメインに、お客様の暮らしに必要な金融サービスを幅広く提供しています。「クレディセゾンといえばセゾンカード」というイメージは世間に広く定着しており、カード総会員数は約3,300万人(2025年3月末時点/連結)にのぼります。 

同社のライフマネジメント部は、保険や投資サービスなど、人々の生活に密接に関わる金融商品を扱う部署です。「顧客の人生全体をサポートする」という視点に立った情報提供を実現するにあたり、HubSpotのCMS「Content Hub」を導入してWebサイトのリニューアルを実施しました。 

今回は、クレディセゾンのライフマネジメント部に所属する黒田真由美さま、吉田晴香さま、黒澤未来さまに、Content Hubの導入に至る背景、Webサイトリニューアルの取り組み内容、そして導入後の成果と今後の展望について、詳しくお話を伺いました。 

「セゾン・パートナー経済圏」の確立を目指し、
顧客の多様な金融ニーズに応える 

-まずは事業内容についてお聞かせください。 

黒田氏​​:当社は「GLOBAL NEO FINANCE COMPANY」として、金融をコアとしたグローバルな総合生活サービスグループへの進化を目指しています。 

クレジットカード事業だけでなく、ファイナンスや不動産事業、グローバル事業も展開しており、各事業のサービスを総合的に提供し、顧客一人ひとりに最適化された価値を創造するために、グループ会社や提携先とのシナジーを活かした「セゾン・パートナー経済圏」の確立を進めています。世の中の困りごとをグローバルに解決すべく、インドやメキシコ、ブラジルといった新興市場への投資も拡大中。全社員によるDXでビジネスを変革し、今よりもっと便利な社会の実現を目指している企業です。 

吉田氏​​:各事業においては、カードビジネスで培ってきた与信のノウハウや、約3,300万人(2025年3月末時点/連結)の顧客基盤、多様な提携パートナー、デジタル技術を活用し、個人・法人のお客様のあらゆるニーズに応えています。 

(株式会社クレディセゾンが2030年に目指す姿) 

​​-皆様の所属部署とミッションについてお聞かせください​。 

吉田氏​​:私たちは、カスタマーサクセス事業部の一部門である「ライフマネジメント部」に所属しています。ライフマネジメント部は、おもに保険・証券の代理店業や仲介業を推進する部署です。 

(株式会社クレディセゾン ライフマネジメント部 吉田 晴香氏) 

 

黒田氏​​ライフマネジメント部のミッションは、保険・証券といった金融サービスを通じて、お客様の暮らしに安心と安定を届けることです。私たちは、セゾンブランドとして自信を持っておすすめできる保険・投資商品を、セゾンカードの会員様だけでなく、他社と合弁で発行している提携カードの会員様や、まだカードをお持ちでない方にも広く提案しています。 

社内的な視点で見ると、私たちの役割は「ノンアセット型ビジネス」によって会社の利益を下支えすることでもあります。クレジットカード事業をはじめ、当社の事業は、資金の外部調達が必要なビジネスモデルが多く金利の上昇によって収益性が圧迫されるリスクを常に抱えています。 

その点、ライフマネジメント部が担う保険・証券の代理店業務は、資金調達が不要です。だからこそ、ノンアセット型事業で収益を上げることは、会社全体の持続的成長に大きく貢献すると考えています。 

黒澤氏​​:私たちは、おもにWeb経由での保険代理店業務を担当しています。保険や証券などの金融商品や役に立つ知識をタイムリーにお客様へ提供すべく、HubSpotを導入してWebサイト「セゾンマネーレシピ」を構築しました。常に変化し続ける顧客ニーズや各種業法にスピーディかつ、わかりやすく、正確に対応できる環境を整えられたこと嬉しく思います。お客様やお取引先様から信頼していただけるようなサイトを運営することが大切だと考えています。  

​​コスト削減と顧客体験向上を実現すべく、Webサイトリニューアルを決断 

-本プロジェクト開始の背景や目的を教えてください​。 

吉田氏:当社は元々、保険事業と証券事業の担当部署が分かれており、それぞれが独立したWebサイトを持っていました。現在はこれらの事業をライフマネジメント部が一手に担っているものの、依然として「保険のサイト」と「投資のサイト」は別々に存在していました。 

しかしお客様にとっては、保険も投資も人生における支出の一部分であり、両者は切り離されていないはずなのです。お客様のライフプラン全体に寄り添って、保険と投資をバランスよく提案していくべきだという考えのもと、2サイトの統合(Webサイトリニューアル)を決定しました。 

黒田氏​​:特に保険は「家に次ぐ大きな買い物」とも言われるほど長期的な支出が大きく、家計を見直す際の重要な要素です。そのため「資産形成のためにどうやってお金を捻出すべき?」と漠然と不安を抱えている方には、「保険の見直しで生まれたゆとり資金を、将来に向けた投資に充てる」など一連のストーリーで、お金の使い方をトータルで提案することが重要だと考えています。 

従来は保険と投資が別サイト・別体制だったため、このような思想を具体化することが難しい状況でした。そのため、『FP相談はどちらが担当?』『どの窓口に相談すればいい?』といったお客様の混乱も生じていました。そこで私たちは、大きなお金が出ていく「保険」と、大きなお金を生み出す「資産形成」をひとつの視点で語れる場をつくろうと考え、Webサイトの統合に踏み切ったのです。 

(株式会社クレディセゾン ライフマネジメント部 黒田 真由美 氏) 

​​-弊社に依頼をいただく前はどのような課題を感じていましたか? 

吉田氏:リニューアル前はCMSを導入しておらず、静的サイト(HTML)をサーバーにアップロードしていました。コンテンツを作成・更新するたびに、コーディングを手動で行う必要があったのです。私たちはWeb制作の専門家ではないため、サイト構築・運用を全て制作会社に外注しなければなりませんでした。 

たとえば「記事の一部分を修正したい」といった細かな調整も社内で対応できず、外部の方に依頼する必要があったのです。さらには、修正が記事に反映されるまで一週間程度かかってしまう。外注費がかさむことはもちろんですが、お客様にリアルタイムで情報をお届けできない点が課題でした。 

黒澤氏:また、保険や投資はYMYL(Your Money or Your Life:人々の資産や人生に大きな影響を与えるトピック)に該当するため、発信する情報の正確性には細心の注意を払う必要があります。制度改定への対応が遅れたり、誤植が発生したりすると重大な問題に発展するおそれがあり、記事制作・修正はスピードが重要だと感じていました。 

このような課題点を解決するには、Webサイト構築・運用を社内で完結させることが望ましい。そこで、数年前から検討していたCMSの導入に踏み切りました。 

-CMS選定において優先順位の高い要件はありましたか?その中でHubSpotを選ばれた理由を教えてください。 

吉田氏:当社は金融サービスを提供する企業ですので、CMS選定においてはセキュリティを最優先事項としていました。そこで、社内のセキュリティ基準をクリアしたCMSの中から選定を行うことになり、候補の1つとしてHubSpotが含まれていました。 

他のCMSと比較すると、HubSpotはユーザビリティの高さと導入コストの面で優れていました。特に魅力的だったのは、パワーポイントを編集する感覚で直感的に操作でき、日々の運用イメージが湧きやすかった点です。 

そこで代理店を探しているなか、Web関連をサポートしている部署の担当者が株式会社100(ハンドレッド)を「100はHubSpot代理店で一番有名だ」と紹介してくれたこともあり、ホームページを探し直接ご連絡させていただきました。 

イメージとのギャップを埋める
コミュニケーションを重視したWebサイト構築支援
 

-実際に行ったプロジェクトの取り組みや、社内体制について教えてください 

吉田氏:既存の2つのWebサイト(保険のサイト、投資のサイト)をHubSpot環境へ移管・統合しました。当社側はおもに、私たちライフマネジメント部、セキュリティ関連の部門、ブランディング関連の部門の3部署が関わり、全体のディレクションを100の信太さん、羽鳥さんに対応いただきました。体制としては5〜6人を中心に、裏側でもさらに多くのメンバーがサポートしていた形です。 

黒田氏​​:プロジェクトの規模自体は小規模ではありましたが、各部署の専門性を活かした連携体制が構築されていました。疑問点が生じた際や判断が難しい場面では、セキュリティや技術面に強いメンバーがその都度ミーティングに参加し、解決を図っていく形で進行。こうした柔軟な役割分担のおかげで、各自の強みを活かしながらプロジェクトを円滑に推進できました。 

黒澤氏:営業・マーケティング担当などのビジネスサイドにとって、Web制作の技術面を理解するのはなかなか難しかったりします。そこで、開発サイドのメンバーに入ってもらいながら、認識の齟齬のないよう進行していきました。 

信太(ハンドレッド):ライフマネジメント部の皆さまは「どのようなWebサイトをつくりたいか」を、初めに共有してくださいました。Webサイトの訪問者像(ペルソナ)の再構築や、使用するカラーコードの選定なども事前に済ませてくださっていたことが、プロジェクト進行の円滑化に大きく寄与したと感じています。 

また、既存2サイトの「どのページを残し、どのページを切削するか」をクレディセゾンさま側で整理してくださっていて。この作業は非常に大変だったと思うのですが、プロジェクト全体を通して皆さまが積極的に動いてくださったのが印象的でした。 

(信太 美香 株式会社100 Chief Director プロジェクト責任者) 

-プロジェクトの過程で苦労された点はありましたか? 

吉田氏:2つのWebサイトを1つに統合するにあたって、両サイトのデザインや表現の方針が大きく異なっていたため、イメージ通りのものをテンプレートで再現するのに苦労しました。実際、理想像とのギャップが生まれたり、「イメージと違う」などの声が社内で挙がったりすることも。 

しかし、羽鳥さんからテンプレートを使用しつつも、理想とするデザインを表現する方法を具体的に提案いただいたことで、多くの課題をクリアできました。本来は契約外の部分だったと思うのですが、迅速に対応いただけて感謝しています。 

実際の運用面では、担当メンバーが以前から複数のCMSに触れていた経験があり、完全にゼロからのスタートではなかったこともスムーズな移行に寄与しました。とはいえ、プロジェクトを成功に導けたのは、HubSpotの直感的な操作性や使いやすさがあってのことだと感じています。 

​​-100との取り組みで印象に残った点は何でしたか?​  

黒田氏​​:新しいWebサイトがローンチした後になって、曖昧な部分が出てくると大変ですよね。そのため、疑問点を十分に解消し、イメージを共有しながらプロジェクトを進行したいという思いがありました。その点を、羽鳥さんには非常にご理解いただきました。 

私たちはサイト構築の経験があるとはいえ、HubSpotは初めてのCMS。仕様や設定変更の影響範囲が読みづらい場面も多くあり、何度も同じような質問をしてしまいましたが、嫌な顔せず回答いただきました。そのおかげで、十分に納得感を得た状態でWebサイトを構築でき、とても感謝しております。 

また、100さんの著書「HubSpot大百科」を最初にいただけて助かりました。事前に書籍を読んだうえで不明点をピックアップし、直接羽鳥さんに質問できる流れが非常によかったです。 

黒澤氏:私たちも「より良いものを作りたい」という思いが強く、週1回の定例会では要望・疑問を思いのままに話していたのですが、羽鳥さんが要点を整理してくださって。タスクを明確にしてくれたことで、私たちは目の前の作業に集中できてありがたかったです。 

(株式会社クレディセゾン ライフマネジメント部 黒澤 未来氏) 

羽鳥(ハンドレッド):今回のプロジェクトは、2つのWebサイトを統合し、HubSpotを初めて導入するという点で、機能面・運用面の両方において多くの挑戦がありました。ライフマネジメント部の皆さまが積極的かつスピーディに動いていただいたことが、プロジェクトのスムーズな進行に大きく貢献したと感じています。 

また、皆さまは定例会やSlackを駆使してくださり、わからないことを「わからない」と言ってくださいました。これは、プロジェクトの円滑な進行において非常に重要なことです。認識のすり合わせを十分に行えたことが、結果として完成度の高いWebサイトの構築につながりました。 

(羽鳥 歩波 株式会社100 HubSpot Solutions Director プロジェクト担当者) 

 

Webサイト修正費90%削減・リード率10%向上
「全社サービス」として社内の注目度も高まる
 

-具体的な成果をお聞かせください。 

吉田氏​​:今回のプロジェクトで得られた成果は、大きくコスト削減とリード率向上の2点です。 

まず、サイト運営コストについては、HubSpotを導入して半年程度ではあるものの、前年同時期と比較してサイト修正費を90%以上削減できました。以前はページ制作を100%外注しており、少なくない費用が発生していました。現在は、HubSpotのライセンス費用やバナー制作費だけに抑えられており、新しいページ制作は自社で実施しています。外注費が浮いた分の予算を、広告や営業活動といった収益を生む施策に投資できるようになり、ビジネス全体を加速させる流れができています。 

次に、マーケティングの面では、保険会社や証券会社への送客においてリード率が10%以上向上。この成果には、HubSpot導入による「ユーザーの興味・関心の見極め」や、タイムリーな最新情報の提供が大きく影響していると思います。 

HubSpotを活用することでPDCAのスピードが格段に上がり、顧客ニーズに沿ったサービスを提供できる段階にステップアップしたと感じています。実際に今担当している保険のキャンペーンでは、A/Bテストを実施し、一週間後にページの改善を即実施できました。従来では考えられなかった迅速な対応を実現できているので、今後もA/Bテスト機能やポップアップ、CTA機能を積極的に活用し、顧客体験の向上を目指したいです。 

黒澤氏​​:CTA機能については、早速良い結果が出ています。クレディセゾンでは、旅行保険付きのカードを持つ顧客向けに、保障内容を確認できる専用ページを用意しています。調査の結果、このページの訪問者の大多数が、今回リニューアルしたWebサイト「マネーレシピ」にもアクセスしていることがわかりました。 

このことから、「補償内容確認ページ」が保険を案内するうえで非常に効果的な接点になると判断。そこで、HubSpotのCTA機能を使い、本ページ上で「カードに追加できる保険がありますよ」と案内を表示するようにしました。本ページ経由の獲得率がとても良いことから、今後もこのような「お客様の行動にあわせた自然な訴求」を続けていきたいと思っています。 

黒田氏​​:情報掲載の手間が減りスピードアップしたことで、社内の他部署から、「新商材を販売する際にサイトに載せてほしい」といった連携依頼も発生するようになりました。また、営業サイドからは「スピーディに修正できる点で便利になった」との声も。Webサイト運用の効率化が、購買体験の向上に直結することを示せたので、マーケティング・営業の連携強化も期待できそうで、これも今回のHubSpot導入によるサイトリニューアルの成果だと感じています。 

 (HubSpot Content HubでリニューアルしたWebサイト「セゾンマネーレシピ」) 

羽鳥(ハンドレッド):マーケティング施策を外注すると、どうしても実行スピードが鈍化してしまいます。その結果として「思うように成果が得られない」「なかなか前に進まない」という事例もよく見受けられるので、社内でWebサイト運用を完結できることは非常に意義がありますよね。HubSpotによって、クレディセゾンさまのビジネスを加速させる流れを作れたことを嬉しく思います。 

​​-最後に今後の展望について教えてください​。  

吉田氏​​:我々ライフマネジメント部は、セゾンカードを持っていない方も含めて幅広い方に金融サービスを届け、お客様がより満足いくような人生を送れるようなサポートを提供することを目指しています。そのためには、 

どのような情報を求めてWebサイトを訪れ、当社に何を期待してくださっているのか。その点をWeb上の行動データから読み取って、顧客コミュニケーションに反映したいと考えています。 

黒田氏​​:私たちがWebサイトを通じて発信する情報は、お客様の生活に大きな影響を与えます。なぜなら、ライフマネジメント部が扱う保険・投資サービスといった商材は、人生設計において重要な役割を担っているからです。 

つまり、お客様にとって真に役立つ情報を提供することは、会社の目指すべき姿「金融をコアとしたグローバルな総合生活サービスグループ」を体現することにもつながる。そのことを強く意識してWebサイトを運営し、今後の展開につなげていきたいと考えています。 

お客様に継続的な価値提供を行ううえで、私たちは常に最新情報をキャッチアップしなければなりません。しかし、WEB関連知識や情報を我々自身が独学でアップデートしていくのは難しい部分があります。常に感度を高めつつ、良質なコンテンツを作るために、100さんにはタイムリーな情報提供を引き続きお願いしたいです。 

信太(ハンドレッド):HubSpotをご活用いただき、実際に数値として成果が出ていることをとても嬉しく思います。HubSpotを使ってハッピーになっていただければ、こちらとしては本望です。ぜひ引き続き、情報提供などをサポートさせていただければと思っております。